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2009年06月01日

ホンモノはどっち?

先日の給付金ディナー。
大将の料理は素材一つ一つを大切に
愛情を持って作ってるコトがよくわかった。

コース料理のメインディッシュ。
それが、これだ。
ホンモノはどっち?

山本大五郎さんが大宜味の青空の下、のびのびと放牧し
時間をかけて大事に育てているホンモノの在来豚アグーだ。

コース料理の最後に、
大将が私達に1冊のリーフレットを手渡してくれた。


ホンモノはどっち?

言葉は決して多くない大将。
まさに寡黙な男の料理人・・・。
でも、その熱い思いやメッセージは、私達にしっかりと伝わっていた。



むかし、むかし、沖縄では広く、
アグーという黒豚が飼われていました。

全身黒の剛毛、イノシシのような野性的な顔、
大きく垂れたおなかと湾曲した腰・・・
体格は小さめだけど、粗食で育ち、暑さや病気に強く、子育てがうまい。

たくましく、沖縄らしい黒豚でした。


西洋種の白豚が沖縄にやってきたのは、明治37年。
アグーとかけあわせた雑食豚は、速く、大きくなりました。
効率を一番に優先しているうちに、
アグーは絶滅寸前にまでその数を減らしました。


沖縄にとってアグーはかけがえのない財産だと、
アグーの復活に取り組む人が現れ、
少しずつ再評価されるようになりました。


一方で「幻のアグー」というフレーズが生まれました。

アグーとかけあわせた交配種を
アグー、あぐ〜、AGUなどと名づける人が出てきて、
希少なはずのアグーという文字が町中に氾濫しました。

ついには、「あぐ〜」の名前の権利まで主張する人が現れました。


アグーは、突然 名前を奪われて困り、
     世の中の人々は混乱するばかりでした。


ホンモノはどっち?

今から約30年前。

琉球在来豚・アグーが絶滅の危機にさらされた時、
「ひとつの種が滅びるのは悲しいこと」
「アグーは沖縄文化の所産」と
動きだした人たちがいました。

経済主義という時代の波や、
「そんな豚を集めて何になる?」という
公的機関の冷やかな声にも
のまれることなく続けられた活動があって、
アグーという種は残りました。

当時、養豚の主流になっていた西洋種の白豚は

「トウモロコシなど飼料を使って飼育されているが、
世界が食糧危機に襲われたら、
これらの穀物は豚のエサにはまわらない。
時代に対処するためにも、雑草でも育つアグーの保護は重要」

という先見の目も、そこには含まれていました。

時代は流れました。

他の豚にアグーをかけあわせた交配種で、
沖縄のブランド豚を育てていくことはいいことだと思います。
でも、交配種や白豚を「あぐ〜」と言って売るとどうなるでしょう?

またひとつ「沖縄らしさ」を失ってしまう前に、
自分のモノサシをしっかりもって、考えてみてください。






そんな内容が、淡々と綴られているリーフレットです。

私達が最近スーパーでよく見かける『あぐ〜』。
それは、こんなラベルではないですか?
ホンモノはどっち?

そうです。
これを『あぐー』『あぐー』と言っていますよね。
でもそれは、琉球在来豚、純血の『アグー』とは別モンなわけです。
JAさんの定義で言うと・・・
『琉球在来豚「アグー」の血液(オス方)を50%以上有することで、「アグー」豚を交配して生産された豚肉を「あぐ〜」と呼びます。』
なんだって・・・。

それもそうですよね。
県内に600頭しかいないといわれている幻の在来豚のアグーが
そんなたくさんスーパーで出回るはずがないですもんね。

私達が、『あぐ〜』と言って、口にするほとんどが
あの黒毛のイノシシみたいに野性的な顔と垂れ下がったお腹のアグーくん
ではないというわけ・・・。
『あぐ〜』のほとんどが、黒のまだら模様が入った白豚や、
全くの白豚なんだそうです。

とすると・・・。
ホンモノの『アグー』は、なんて言えばいいの?
『あぐー』と『アグー』。音だけではその区別はつかない。
観光客にゃ〜さっぱりその区別はつかんはず。
どうよ、これ。
どうなの?

確かに、交配種を作って生産効率をあげる!というのも
安く消費者の私達に、美味しいお肉を届ける為に、
生産者さん達が苦労して考えたはずなので、良く理解できるし、
悪いことではないと思います。

しかしなあら、
ニューハーフな『あぐー』くんに、
本家本元の『アグー』くんが
「お前は『あぐー』じゃない!」と、言われても・・・
ホンモノの『アグー』くんは、かなり、困っちゃいますよね。

問題は、そこなのです。
時間をかけて、苦労して、在来種の純血アグーを残す為に
一生懸命な数少ない養豚農家さん達が、納得できない気持ちもわかりますよね。

この紛らわしいネーミング。
もっと消費者に、正しくわかりやすい、
区別しやすいものにしていただけないものでしょうか?

その問題提起が、この『アグーを考える会』のメッセージなのです。

生産者の山本大五郎さん。料理人の小島圭二さんたちは、
堂々と実名で、こういった会を作り、沖縄らしさを失わない為の
誠実な取り組みをされているのです。

去る5月10日の新聞の記事にも載っていましたね。

消費者である県民の私達ひとりひとりも、
ちょっと足を止めて、考えてみなければならないコトなのかも知れません。


今日は、長々とお勉強にお付き合いくだあり
ありがとうございました。

あまりにも、美味しく貴重な『アグー』をいただきましたものですから、
これくらいは、考えないと・・・。
と思いまして、皆様にお付き合いいただきました。

山本大五郎さんが丹誠込めて育てている『ホンモノのアグー』を、
小島シェフがじっくりと美味しく料理して下さいますよ。
給付金で(笑)、是非食べてみて下さいね・・・。


上記のリーフレットも
てぃ〜だの家におかせていただいています。
是非もらって読んでみて下さいね。


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この記事へのコメント
こんにちは。

あのー、自分は、アグーってのはすでに絶滅していると聞いているのですが、純血品種って、ホントにまだ存在しているのでしょうか?全部が混血品種だとしたら、真贋論自体がちょっと変なような・・・・。
Posted by 雅屋 at 2009年06月01日 15:43
北部農林で作られた チャグーというのも
いましたね。
アグーと白豚の混血でしたっけ?
名護の道の駅ではチャグーのメンチカツや豚まんもあったような・・・
私は旦那に テグーと呼ばれています。
Posted by sion.asatosion.asato at 2009年06月01日 16:51
>雅屋さん
さすがにこう言うのに
反応示してくれましたね(笑)?
ありがとう!
そうですよね〜。
原種の絶滅が危惧されて、
当時の名護市博物館や北部農林高校が、
保存計画を立ち上げたときに、県内に既に残っていたアグーは数十頭。
そのほとんどが、近親だったため、交配は
うまく行かず、苦肉の策が、"戻し交配”だった
という文章を見たことがあります。
と言うことは、一回他種を交配させてるわけ
ですよね。まあその時点で、厳密に言うと
純血とは言えないのかもね〜。

それでも、当時のその方達の並々ならぬ尽力
で、アグーの純血種に限りなく近い豚の復元に成功したものが、今、希少とされている琉球在来豚アグーなのだとすれば、
やはり、更に消費者の混乱を招いてる
現在のこの商標問題は、もっとみんなで
議論していったほうがいいよね・・・。
そう思うとさ、
まったく違うネーミングをつけたチャーグーは、とってもわかりやすくていいよね!
Posted by tingalatingala at 2009年06月01日 16:56
>テグーのasatoさん
今まさに、チャーグーの事を書いていたので
さすがにasatoさん。以心伝心だわ(笑)。
北農の学生たちが頑張って育てていると
いうのも好感持てるよね。
そもそも家畜って、生産能率を上げるためにも交配に交配を重ねるわけで、それが悪い事
ではないし、実際に在来豚のアグー自体も、
沖縄に中国から渡ってきた種から交配して
出来た種類だといわれているからね〜。
ただ、私達の連想するあの希少な黒豚の
アグーと、出回ってる『あぐー』が違うということは、やっぱり紛らわしい問題だね。
今回、大将の料理を食べて興奮しながらも
食材について少し考えちゃいました。
Posted by tingalatingala at 2009年06月01日 17:12
こんにちは

私も「アグーって数少なくて貴重って聞いたけど、スーパーとかに普通に並んでるよな~本物か~~!?」
って思ってました。

今日は勉強させられました。
ありがとう!!
Posted by ヴィンテージ・ヤードヴィンテージ・ヤード at 2009年06月02日 13:20
>ヴィンヤドちかちゃん
そうだよね。ちかちゃんみたいに、
最近、スーパーでも
あぐーと書いてあるお肉をよく見かけるし、
国際通りなんかも、
あぐーが食べれるって書いてある看板が
すごく増えてるな〜と思ってる人
結構多いと思うけど、こういうカラクリが
あったんだよね〜。
Posted by tingalatingala at 2009年06月03日 17:41
北農の生徒ですが、北農のアグーは99.9%アグーです。それはDNA鑑定で検査済です。北農アグーは厳しく選抜されたもので「戻し交配」を行ってきました。だから、純血と一緒と言っていいほどなのです。でも「戻し交配」で近交退化が起こりました。そこで他の豚と交配する事で能力を高める雑種強制を行いました。最初はアグーと白豚を交配しましたが、産まれた子豚は白い斑点がついていてアグーらしさがかけました。そこで今度は色も似ていて、繁殖性も優れているデュロックという茶色い豚と交配しました。それで産まれたのがチャーグーです。
わかりづらいかもしれませんが、簡単に言うとこんな感じです。
Posted by ほくのう at 2010年03月08日 23:41
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